2012年4月22日日曜日

「HOW TO」病の日本


今朝の朝日新聞朝刊のコラム「波聞風問(はもんふうもん)」「経営方針」のタイトルです。(編集委員 安井孝之)
一昔前には、想像も出来なかったことですが、ソニーの今年3月期決算は過去最大の5200億円の赤字になる。
安井氏が12日の経営方針説明会へ行った時のことが卒直に語られています。内容は黒字化への具体的な手段がその大部分で、どんな会社に生まれ変わるのかという目標、理念は明確には語られなかった。その発言は多くの「手段」に埋没した感があったと述べています。
そして,一橋大学名誉教授の野中郁次郎氏の「今の日本の経営者は、『HOW』ばかりを語り、『WHAT』『WHY』をあまり語らなくなっている」という指摘が付け加えられています。

まさに、ソニーだけでなく、世界中で起きている深刻な問題は、ドラッカー氏が、1995年の時点で、IBM、GMなどについて指摘した問題です。

組織の「WHAT TO DO」を誰にもわかりやすく明確にするのが「事業の定義」です。

組織のミッションが、組織をとりまく環境の変化に対応できずに、ミッションそのものの価値が下がってしまったり、もっと上手にミッションを果たせる組織が、他に誕生してきたりすれば、誰が見ても答えは明らかです。

ですから、あなたの関わっているビジネスの内容を曖昧にしておかないで、ドラッカー流「事業の定義」で、明確にしましょう。とドラッカー氏は提案しているのだと思います。

でも、ドラッカー氏は、「事業の定義」をしただけでは、まだ、組織が成果をあげることにはなりませんとしています。

(「ロゴQ」は、A・Tコミュニケーションズ株式会社の登録商標です。)

2 件のコメント:

  1. 私は間もなく、塩野七海女史の「ローマ人の物語」43巻を読み終わりますが、あれだけ栄華を誇ったローマ帝国が滅亡していく様子を見せ付けられるのは、正直身につまされます。その流れを見て強く感じるのは、栄華を誇っている時代の皇帝は、この大帝国を統治する「理念」が明確である事であり、その視野が狭まるのと帝国の衰退とが見事に連動しているという事です。
    最後の方では、境界線(リメス)を破って繰り返し攻め込んでくる外敵(蛮族)に近視眼的に対処するばかりであり、その結果1000年以上続いた「西ローマ帝国」はあっさり霧散してしまうのです。
    事業でも同じ事が言えると思います。
    事業の成功は、その事業者とその参加者がどれだけその事業の意義を明確に定義・共有しているかという事と連動しているのであり、ただ単に稼ぐ方法だけを追求していれば
    早晩その事業は行き詰まると思います。
    ついつい「儲け方(HowTo)」ばかり考えがちな自分自身に改めて警鐘を・・・。

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  2. tuboi様
    コメントありがとうございます。組織の健全性を維持し、繁栄を継続していくことは、まさに至難なことですね。「ローマ人の物語」43巻を読了されることおめでとうございます。
    確か、第一巻だと記憶するのですが、国家、組織が健全に発展していくには、「自由」は、とても重要ですが、「自由」だけではダメで、「秩序」とのバランスが大事。ローマ人は、「法」で、ユダヤの人は、「宗教」で、ギリシャ人は、「哲学」で、最近のギリシャ人は、「哲学」しなくなってしまったのでしょうか?
    その後、どこに書いてあったのか、探しましたが、見つけられませんでした。版によって文章が代わることってあるのでしょうか?たぶん、単なる記憶ちがい?
    今後とも「ロゴQマーケティング」を応援してください。

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