2012年5月25日金曜日

「A I S A S」の「A I」は、「A I D M A」時代の「A I」とどのように変わったか?


「A I D M A」(アイドマ)は、1920年代に、米国の販売・広告の実務書で、ローランド・ホールが広告宣伝に対する消費者心理のプロセスとして、提唱したものです。
 90年も前のはなしです。当然、今よりはるかに情報の少ない時代でした。広告宣伝の情報発信力が際立っていた時代だと容易に想像できます。

その時代に於いては、広告宣伝が、如何に、消費者の「注意」(A-Attention) を引き付け、「興味」(I-Interest)を喚起するかが、主たるテーマでした。

しかし、インターネットの普及にしたがい、消費行動の変化が起きてきます。それを端的に表現したのが「A Ⅰ S A S」です。しかし、同じ「A I」でも、アイドマ時代の「A I」とは、背景に相当な違いがあります。
今日これだけ情報が溢れている時代、消費者は、広告宣伝によってだけ、「注意」を引き付けられたり、「興味」を促されたりするのではありません。新聞や雑誌の記事であったり、ソーシアル・ネットワーキング・サービスの友人情報であったり、様々です。
もっといえば、消費者のライフステージなどで起きてくる消費のモチベーションが基本にあって生じてくる「興味」はパワフルであります。
そして、即、Search(情報収集)へ進むわけです。

この時、情報収集の対象として想起されるかどうかが大事です。その消費者の心に占める割合を常に高めておくことが重要です。
それには、常日頃からコミュニケーションの質と頻度を高めておくことが要請されます。
よく言われるように、マインドシェアを高めることなしに、購買を促進することが難しくなってきています。

 そのような背景もあって、顧客と組織との関係性を重視する、カスタマー・リレーションシップ・マネージメント(CRM)が登場してきます。

お客様との関係性を大事にするのは、別に今に始まったことではありません。ただ、やはりインフォメーション・テクノロジーの進展で、このフィールドにおける新しい技術的な道具を手にすることが出来ました。

そして、「ワン・ツー・ワンマーケティング」「パーソナルマーケティング」「フリークエント・ショッパーズ・プログラム(FSP)」「カスタマー・リレーションシップ・マネージメント(CRM)」など、続々と登場してきます。

(「ロゴQ」は、A・Tコミュニケーションズ株式会社の登録商標です)

2012年5月20日日曜日

今日、組織は基本的にオープンであることを求められています!


「A I S A S」のふたつのS、Search(情報収集)とShare(情報共有)は、単に消費行動の新しいモデル以上に社会全体にインパクトを与えています。
言って見れば、まさに、「アラブの春」もこの二つのSに起因しているといえます。

ということは、組織は、基本的に隠し事が出来ない環境になっているということです。
ドラッカー氏の言う「事業の定義」で、自らの組織の“What to Do”を常に確認しつつ,真摯に行動するということです。

そんなきれいごとで、組織の現実的な運営ができるか?という声が聞こえてきそうです。
でも、本質的なことを述べているのです。

その覚悟がないと、「ブログ炎上」などということに、必要以上に神経過敏になって、新しいコミュニケーションの仕組みを前にして、その組織がいつまでもヘジテイトしていて、いつの間にか、市場とも顧客とも上手にコミュニケーションをとることの出来ない組織になってしまうリスクの方が大きいと言えそうです。

当然、何をやるにしても、リスクはあります。しかし、そのリスクを克服できる力量があれば、リスクを限りなく軽減することはできるわけです。

昔から「彼を知り己を知れば百戦あやうからず」と言います。

2012年5月19日土曜日

「A I D M A」から「A I S A S」へ!




インフォメーション・テクノロジーの進展は、消費行動にどのような影響を与えたのでしょうか?当方のようなゲンバ人間にあまり難しいことを言われても困るわけです。

その点、電通の唱える「A I D M A」から「A I S A S」へは、簡潔で、わかりやすい。ご案内のように、「A I D M A」は、1920年頃米国で、ローランド・ホールが提唱したとされています。その当時の消費行動のプロセスを説明するモデルです。

「A」-Attention  (認知)
「I」-Interrest   (関心)
「D」-Desire    (欲求)
「M」-Memory  (記憶)
「A」-Action    (購入)

インターネットの普及に従って、消費行動が変化してきたと、2004年から電通は、新しい消費行動モデルとして「A I S A S」を提唱しています。
そして、2005年には、広告領域(35類)で、商標登録まで取得しています。

『インターネットが普及し、誰でも容易に情報に触れることのできる現代においては、商品・サービスや広告に気づいたあと、気になることを消費者自ら掘り下げて調べたり、仕入れた情報を発信して他の人々と共有したりする「能動的な情報接触」が極めて盛んになってきている。つまり、企業(送り手)から消費者(受け手)に情報が伝わる流れ以外に消費者自身によるSearch(情報収集)とShare(情報共有)という2つの特徴的な行動が購入を決定する要因になってきているのである。』(クロスイッチ 電通クロスメディア開発プロジェクトチーム著 ダイアモンド社)

「A」-Attention  (認知)
「I」-Interest    (関心)
「S」-Search   (情報収集)
「A」-Action    (購入)
「S」-Share    (情報共有)

提唱されて、8年以上になるので、「A I S A S」を耳にした人は少なくないと思います。しかし「A I D M A」から「A I S A S」の劇的ともいえる構造変化の本質的な理解がされているかと言えば、かなり怪しくなってきます。

今日、消費者が、「関心」を持って、購入するかどうかと思ったとき、まず、やることは、Search(情報収集)です。
その時重要なのは、消費者が、Searchする時、情報源として、想起されるのか、言い換えれば、情報源としてあてにされているのかということです。
そして、実際に、Searchされたときに、期待された以上の情報を提供できることが極めて重要です。下手をすれば、失望を増幅してしまいます。

それにしては、お茶を濁す程度のホームページが多数散見されます。むしろ、イメージの低下を招いてしまいます。



2012年5月8日火曜日

IT先進国、米国の組織は、ITを上手に活用できているか?


「ザッポスの奇跡」の著者、石塚しのぶ氏のブログで、JCペニー再建について語られていました。
(「アップルストアの生みの親が老舗デパート再建に本腰」(http://www.dyna-search.com/blog/2012/01/11436))

つい、40年くらい前は、世界でも有数の売上げを保有していたJCペニーが、再建に外部から、CEOを招聘しなければならないほど、経営的に、追い込まれています。

要因を、ドラッカー流「事業定義」に照らしてみれば、やはり、大本のところで、マーケットとずれてきてしまったと言うことなのでしょう。

2011年6月に新しいCEOロン・ジョンソン氏が就任して、真っ先にしたことは、JCペニーのメール配信リストに登録することであったと言います。

そして、JCペニーから、毎日のように、ひどい時には、一日のうちに数回も来るメールの嵐、すべて安売り情報ばかりであったようです。

このような状況では、折角メールを送信してもよいというパーミッションいただいた顧客に失望を与え、自らのイメージをますます低下させてしまっています。

ITの進展によって、ハードでは、PC,ケータイ、スマートフォン、タブレットPCなどが登場し、インターネットを軸にウェブ・サイト、モバイル・サイト、動画サイト、メールマガジン、ソーシアル・ネットワーキング・サービスなどの新しいメディアが進化し続けています。

JCペニーが、市場と、そして顧客とのコミュニケーションにこの技術的な進展を上手に活用できていれば、もっと、早くにこの地殻変動に気がついて的確な対応が出来たのではないでしょうか?

(ロゴQは、A・Tコミュニケーションズ株式会社の登録商標です。)

2012年5月4日金曜日

組織をとりまく環境で,最も強い影響力のファクターは?


先日の「携わっているビジネスの事業定義を明文化してみよう!」で、組織をとりまく環境について、具体的な項目を挙げてみましたが、そのなかで、ひと際広範囲で、強い影響力を持っているのは、誰が見ても明らかなことですが、「インフォメーション・テクノロジーの進展」と言えます。
「情報」は、すべてのことに関わっているのですから、当然と言えば当然です。

この情報と言う点では、日本は、もともと、ハンディを負っていると言えます。四方を海に囲まれ、欧米中心の時代には、極東に位置し、情報に欠かせない言語は、日本語と言う世界でもっともマイナーな言語を使用しています。
事実上の世界国際標準言語になっている英語については、世界でももっとも不得手な人たちと言われています。

さらに、別の視点でも、日本の国内市場で、ある程度の規模の需要を期待できることも発想そのものがグローバル化しない要因であるとよく言われます。

組織が、ビジネスで、成果をあげて行くには、「市場と顧客」とのよいコミュニケーションをとっていくことがキーです。

インフォメーション・テクノロジーの絶え間ない進展が、パーソナルコンピューター、ケータイ、スマートフォン、タブレットPCなどを生み出し、インターネットによる、ホームページ、モバイルサイト、メルマガ、ソーシアル・ネットワーキング・サービスなど、新しいメディアが生みだされています。

組織が、これらの新しいメディアを上手に使いこなし、活用して、市場と、顧客とよいコミュニケーションを維持、発展できるかが今、問われています。

(「ロゴQ」は、A・Tコミュニケーションズ株式会社の登録商標です。)